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ㅤㅤㅤ ㅤㅤㅤ ㅤㅤㅤ ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ ㅤㅤ ㅤㅤㅤ ㅤ India J&K Mt.nun(7,135)

冬季 中崎尾根・槍ヶ岳

12月30日(土)
新宿駅21時特急「あずさ」で松本に向かう。松本駅では東西自由路2F広いスペースで仮眠をとる。朝4時起きタクシーで新穂高温泉に。山中に入るころから雪が降りだす。新穂高温泉に着く頃には外は明るくなり雪も止み雲の切れ間から青空を覗かせていた。登山指導センターに計画書を提出し出発する。蒲田川の右俣谷の林道を槍平小屋へと緩やかな登りを進んでいく。9Kmの道程である。雪の量は、平年より少ない。年末・年始の天気は、寒気の南下が弱く冬型の気圧配置が長続きせず穏やかに晴れる日が多い予報となっており絶好の登山日和となった。雪に覆われ舗装道は歩きやすく奥穂高岳登山口まで続いている。穂高平小屋で小休、牧場であろうか広い敷地に柵がある。穂高平小屋から1.5時間程で奥穂高岳登山口に着く。ここから登山道となり、小さなデブリがある白出沢、ブドウ谷、チビ谷を横切り、滝谷避難小屋のある滝谷出合に達する。滝谷の奥に真っ白な雄滝や滝谷ドームが望める。そしてその少し先に滝谷初登攀者である藤木九三のレリーフがある。槍平小屋には、幾つかのテントがあった。我々は、雪原になっている広いテント場を横切り奥丸山からの急な尾根に取り付いた。400mの登行である。私と梶は、ここでアイゼンを付けた。日が暮れようとしている頃に雪の斜面を整地し幕を張った。東に稜線を白くまとった迫力のある槍・穂の雄姿が見ることができる。
12月31日(日)
早朝双六岳方面に雲がかかっていて不安になるが次第に天気は快晴に向かい風も穏やかになってきた。とても正月の天気とは思えない。幕場から奥丸山分岐を通り千丈沢乗越を目指す。水平距離は約2.3Kmである。千丈沢乗越の登りまでは、小さなアップダウンが続く比較的平坦な稜線である。それでも先行者のトレースがあって助かる。7名の登山者が下の千丈沢乗越分岐方面からこちらの尾根に登って来る。途中であっさりと抜かされる。彼らは、槍ヶ岳山荘の冬季小屋に泊まるという。千丈沢乗越の手前は、急な雪の斜面となって西鎌尾根の稜線に伸びている。雪が深ければ雪崩の心配があるところだ。乗越で一本立てる。乗越から山荘までは、標高差360mの岩稜の登りとなる。高度障害なのだろうか息苦しい。槍ヶ岳山荘の冬季小屋で、必要な登攀具を持って出発する。高度差100mの急峻な登りになる。雪をまとった天空に聳え立つ槍の穂先は、何人も寄せつけない威厳を放っていた。槍の穂先は南面の梯子のあるルートを登る。登山者により梯子や鎖に付いている雪は払い落とされている。ピッケルとアイゼンを雪面に効かして慎重に登る。最後の梯子を登り頂上(標高3,180m)に出る。天気に恵まれて360°素晴らしい眺めである。槍ヶ岳から放射状に広がっている穂高へと続く主稜線、東鎌、西鎌、北鎌尾根、そしてそれぞれの峰々が白く輝き美しい。遠くに中央、南アルプス八ヶ岳、富士山が望める。3人で写真を撮り、早々に下山にかかる。凍った急な斜面の登りはよいが、下りは梶の足元が不安になる。ザイルを取り出し、2ピッチの懸垂で基部に戻る。冬季小屋で荷物を回収し、下山にかかる。千丈沢乗越から奥丸山に通じる支尾根に降りると、風はなくなり、落日で黄金色に輝く槍・穂高連峰が美しい。途中で暗くなりヘッドランプを取り出す。梶のヘッドランプの調子が悪いので私と山口の間に入り幕場に向う。
         
1月 1日(月)
朝明け前小雪が舞う中で出発の準備をする。下からの登山者が槍ヶ岳には、この方向で良いかと尋ねる。初日に登って来た急な雪の登山道を下降する。下から多くの登山者が登って来る。私はストックを使用したが、傾斜がきつく、あまり用をなさなかった。途中で梶が雪の急斜面の登山道を15m滑落したが運良く樹木に引っかかり停止した。怪我は無いようである。その後私はストックをピッケルに代えて危険を感じたところは後ろ向きで降りた。槍平小屋で一本立てる。暑くなってきたので上着を脱ぎ奥穂高登山口ではアイゼンを外す。右俣谷の上空をヘリコプターが舞う。13時40分の松本バスターミナル行の特急バスに間に合うように新穂高ロープウェイバス停まで急ぐ。中崎山荘・奥飛騨温泉で汗を流し帰京する。 (山口、梶、塚田・記) ※中略

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